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建設アスベスト訴訟 最高裁で国の責任確定!

こんにちは。弁護士の前田牧です。

 

今日は朝から私のTwitterに報道各社の「建設石綿訴訟 最高裁で初 国の賠償責任確定」のニュースが流れてきました。

 

建設アスベスト訴訟は、建設現場でアスベスト(石綿)を吸い肺がんなどを患った元労働者、遺族が起こした裁判です。

私も参加している九州訴訟も現在最高裁にかかっていますが、今回の記事になっているのは東京訴訟です。

 

東京訴訟では2018年3月に東京高等裁判所が、遅くとも1975年以降、国は防じんマスクの着用や警告表示を義務付けるべきであった(のにそれを怠った)として、2004年まで規制しなかったことが違法であると判決で判断しています。

また、労働基準法上の労働者だけでなく、一人親方に対する国の損害賠償責任も認めています。

 

国はこの東京高裁の判断を不服として上告していましたが、昨日、最高裁判所は上告を受理しない(つまり上告を退ける)という判断をしました。

他の論点の審理がありますので、まだ全体的な判決が出たわけではありませんが、国がマスク着用や警告表示の義務付けについて規制権限を行使しなかったことが違法があったこと、国には一人親方に対しても損害を賠償する責任があることは確定しました。

 

また、東京高裁は、建材製造メーカーの損害賠償責任を全否定していました。

これに対して、原告である建設労働者側が上告をしています。

今回最高裁はこの建設労働者側の上告を受け入れる判断を示しましたので、この点はこれから最高裁で審理されることになります。最高裁は、判決内容を見直す必要がないと判断した時には上告を受理しませんので、上告を受理したということは建材メーカーの責任を全否定した点を見直す(変更する)可能性があるということです。

 

ところで、今回の東京訴訟は2008年に東京地裁に提訴したものですので、すでに12年が経過しています。こういった国や大企業による大規模な被害が発生した場合、被害者はいつも長い長い裁判を経なければ救済にたどり着けないのでしょうか。

建設アスベスト訴訟では、全国で行われている訴訟のうちの一つでも国の責任が確定した場合には、国は直ちに全てのアスベスト被害者(訴訟をしていない人も含め)に謝罪し、全員を救済するような措置をとるべきであると訴えてきました。

原告が求めているのは被害者補償基金創設による救済です。

 

私たちは歴史の教科書で日本や世界で数々の公害事件、薬害事件が起きてきたことを勉強しました。例えば水俣病事件、薬害スモン事件、HIV事件・・・。

たいていの教科書にはこういった事件が起こったことと、救済制度ができたことが記載されているだけですが、よく見ると事件発生から救済制度ができるまでの間には長い年月が経っています。その間、被害者の方々がどれだけ一生懸命たたかったのか、時には心が折れそうになったりしたでしょう。中にはたたかいの半ばで命を落とした方もおられると思います。

アスベスト訴訟を経験して、そういった方々の努力の上に現在の制度が成り立っていることを改めて感じています。

 

(弁護士 前田)

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