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医療事故調査制度の現状

先日、医療事故防止・患者安全学会の代表理事である隈本邦彦さんの講演会「医療事故調査制度の現状~再発防止への取り組みは~」に参加しました。

 

医療事故調査制度とは、患者が「予期せぬ死亡」をした場合に、医療機関が自ら調査を行い、原因を究明することで医療の安全の確保と質の向上を図ろうとする制度で、2015年10月から始まりました。医療機関は患者が「予期せぬ死亡」をした場合には、医療安全調査機構に報告をした上で、調査を始めることになっています。

医療安全調査機構は、報告をもとに事故の分析を行い、再発防止に向けた提言を行なっています。

 

この医療事故調査制度、発足当初は年間で1000~2000件の事故報告があるだろうと予想されていましたが、実際には年間で400件程度となっていて、これまで3年半の報告数が1308件と伸び悩んでいます。

報告するかどうかと現場の医師任せにしていたり、「過誤」すなわち「ミス」があった場合だけ報告すればよいと勘違いしていたりすることが、報告数が伸びない原因ではないかと考えられています。

 

例えば界面活性剤による連続殺人事件が発覚した大口病院事件では、何人もの「予期せぬ死亡」が起こっていたにもかかわらず、医療事故制度による院内調査は行われませんでした。さらに、この件は大々的にニュースになったにも関わらず、「なぜ医療事故調査制度に基づいた院内調査を実施しないのか」という声もありませんでした。

医療事故調査制度が未だ医療の現場や市民に浸透していないということなのかもしれません。

 

なぜ医療の現場で医療事故調査制度が浸透しないのかについて、講演会に参加した医師からは「調査には時間も労力もかかる。今の診療報酬体系ではやっていけない。本当にこの制度を浸透させようとするなら調査に対して診療報酬を払うようにするべき。」との意見がありました。確かに、医療の現場は大変忙しく、利益率は低いというのが現状です。やろうと思ってもやれないという事情もあるのでしょう。

 

隈本先生からは「医療のガイドラインには、「こうしなさい」としか書いてなくて、「そうしないと、どうなるか」は書いていない。医療事故報告を分析することによって「どうなるか」がわかる。それが再発防止策の構築として活かされるのです。」という言葉がありました。

実際に医療安全機構のウェブサイトには、「中心静脈の誤穿刺の再発防止」「急性肺血栓塞栓症の再発防止」など9つの機構が作成した再発防止に受けた提言が掲載されています。提言は、実践的な内容で、動画や漫画を入れてわかりやすく作成されています。

 

医療の質の向上のために、医療事故調査制度が活用されていくことを期待します!

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