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未払い賃金の時効 5年に?

現在、残業代などの未払い賃金があった場合、労働者が会社に請求できる期間は2年とされています(労働基準法115条)。

この請求期間、長いでしょうか?短いでしょうか?

 

現在の民法では債権の消滅時効を原則として10年と定めています。

例えば、医療過誤事件で病院に債務不履行責任を問うときや労災で企業の責任を問うときに損害賠償請求できる期間は10年とされてきました。

 

しかし、令和2年4月1日施行の民法改正によってこの期間は5年に短縮なりました。ですから、損害賠償請求をしようと考えるなら、今までよりも早く行動を起こさなければならなくなるでしょう。

 

ところで、現在の民法には10年という原則とは違って、早く時効が完成するケースがいくつか定められています。

例えば飲食代は1年、弁護士の報酬は2年、工事の請負代金が3年などと、職業別に細かく決まっているのです。これは、事実関係を尊重して早期に権利関係を確定するという目的で、短く設定されているのです。

 

この短期消滅時効とのバランスで、労働者の賃金請求権も労働基準法によって2年と定められています。

ですから、残業代を請求するときにも、基本的には2年分しか遡って請求することはできません。

 

しかし、改正民法では、職業別に決まっていた短期消滅時効が廃止され、原則として5年に統一されることになりました。

 

そうすると、未払い賃金だけが2年というのはバランスが取れないので、こちらも5年にするべきだという意見があります。

 

この点について厚生労働省の有識者検討会は6月13日に、未払い賃金の請求期間を5年にするよう促す見解をまとめたそうです。

 

会社の立場から見ると、請求期間が5年になると、残業代を支払っていなかった場合には、単純に計算してもこれまでの倍以上の残業代を請求されることになります。

今後は、企業のリスク管理という側面からみても、未払い残業代を発生させないようにすることが大事になるでしょう。