医師の過失とは?

医療が思ったような結果に終わらなかった場合、すべての場合に医師や医療機関の責任が問われるわけではありません。


医師や医療機関が損害賠償という民事上の責任を負うのは、過失があったときです。


では、どんなときに過失があると言われるのでしょうか?


医師の注意義務とは?

判例では、医師(医療従事者)は「最善の注意義務」を負うとされています。

「いやしくも人の生命及び健康を管理すべき業務(医業)に従事する者は,その業務の性質に照し,危険防止のために実験上必要とされる最善の注意義務を要求されるのは,已むを得ないところといわざるを得ない。」と述べた判例が、リーディングケースだと言われています。


臨床医学の実際における注意義務とは?

後の判例では、最前の注意義務は具体的にいうと、「診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準である」と述べられています。

 

しかし、臨床医学の実践における医療水準は、どんな病院でも一律というわけではありません。

施設や人員の整った大学病院と離島の小さな医院では、求められる医療水準に違いが生じてもおかしくはないでしょう。

この点を判例では、次のように言っています。

「この臨床医学の実践における医療水準は,全国一律に絶対的な基準として考えるべきものではなく,診療に当たった当該医師の専門分野,所属する診療機関の性格,その所在する地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮して決せられるべきものである」

 

つまり、・医師の専門分野

    ・診療期間の性格

    ・その地域の医療環境

    ・その他諸般の事情

を考慮して、ケース毎に考えなければならない、ということです。


医療慣行との違いは?

ところで、その医療機関が「うちではそんな医療はやっていないよ。」と言えば、その言い分がとおってしまうのでしょうか?


裁判では、このような「医療慣行」と注意義務は違うと述べられています。


注意義務の水準は、諸般の事情から考えてその医療機関に求められている水準であって、これはあくまでも法的な判断なのです。

実際に実施しているかどうか、すなわち「医療慣行」とはイコールではないのです。